
これまでのプロセスガスクロマトグラフの開発は、高い機能的信頼性や高精度分析を達成するために、どちらかと言えば、技術的に完璧なソリューションの開発に偏っていた。その結果、現在ではプロセスガスクロマトグラフに対して、高機能なシステムを求めることが出来るが、結果として複雑で高価なシステムになってしまった。
この流れは、分析システムの多機能化推進の傾向をサポートはしたものの、非連続測定と分析サイクルの延長という基本的弱点を強める結果となってしまった。さらに情報システムの統合、あるいはオペレーションやメンテナンスにおける通信も新しいトレンドとなり、従来のガスクロマトグラフでは対応できない状況になっていた。
投資額と専門技術者不足の環境下にもかかわらず、複雑性の増加という新たなジレンマから開放されるただひとつの出口は、開発の方向性を転換することにあるとの結論に達し、様々な開発テーマが持ち上がった。
まず、カラムの内径を小さくすることが一つの解決に繋がることが実証できた。これは、大きなカラム容積が分離に不利に働くこと(拡散により分離された分子が再度混合される)から明白である。
カラムの内径を小さくすると容積は2乗で影響を受けはするが、分離に必要な面積は比例関係で変わらない。これによりカラム内径を小さくすると分離性能は高くなり、短時間でシャープな分離が可能となる。そのようなカラムを小口径キャピラリカラムと呼ぶ。
キャピラリカラムの優位性を有効利用するため、すべてのシステムエレメントは100-150μmの径に合わせねばならず、そしてインジェクションやカラム制御に要求される諸条件も満たさなければならない。実用上の理由(流速の低下あるいは分子が拡散することで分離を妨げるデッドボリュームの存在)で、旧来のバルブでは条件を満たすことが出来ず、これを満足させるためには、シリコンウエハ技術をベースにしたマイクロ・エレクトロメカニカルシステム(MEMS)を応用する以外に方法がないとの結論に至った。
MEMSを用いて検出器を設計できるなら、測定物質に定性的あるいは定量的変化がおこらないので、カラムシステムに検出器を直列に並べることが可能になり、この方法にて測定時間の短縮と分析結果のべリファイという新しい可能性を開くことができた。
この技術をガスクロマトグラフに導入したことによる、ユーザの利点としては、
(1)より多い、より早い情報の取得
・それぞれのストリームにそれぞれの分析計
・短い測定時間
・プロセスコントロールの改善
・プロセス安全性の向上
・製品品質の向上
・最適化された自動制御プロセスの確立
(2)より信頼性ある情報の取得
・自己診断
・信頼性チェック
・ベリフィケーション戦略
(3)コストダウンに繋がる優位点
・専門技術者を採用し、維持するためのコストを削減
・遠隔での操作、診断、保守によりメンテ頻度の削減
・現場での修理の代わりにモジュール交換で対応可能
・ユーティリティとプロセスガスの消費量削減
・トータルでの設備コスト削減