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センサコラム「計装2007年7月号」Vol.01

安全計装システム入門−その傾向と対策
システム導入のための実践入門
安全計装設計はこう進める。
−基礎事項と実務解説−

日本電気計測器工業会PA・FA計測制御委員会 中川 雅造

1.はじめに

機能安全規格IEC61511(2003年発行)による安全計装システム(SIS)の導入の動きが全世界的に進んで来た。 日本においても、2007年度JIS発行予定でありこのところ急速に安全計装事例が出ている。
まず、三菱化学が2005年12月にオレフィン生産用分解炉にSISを導入、また、昭和高分子においてもDCSのリプレースの際に、ハードリレーで構成されていた防消火システム(F&G)及び緊急遮断システム(ESD)に安全PLCによるSISを導入した。入出力点数は約800点。(2007年計装5月号による)。
しかし、高圧ガス製造事業所における災害事故件数は2006年度速報値で過去最高の99件に達し、そのうちコンビナート関連においては37件に及ぶ(高圧ガス保安協会)。 1990年代から2001年まで20〜30件/年であったが、2002年から急激に増加している。こうした事故を減らすためにも、IEC61511のJIS化に伴いSISの導入が強く要請されることとなろう。
  今回は、今後国内でも増加していく計装エンジニアのSISの設計の実務について解説する。

2.SIS設計のワークフロー

SISの設計の流れは、図1のようになる。(JPI-7B-92-2004)

(1) SILの決定

SISの設備(ESDや防消火設備、高度圧力保護システムなど)単位でSILが決定されてくる。決定手法はIEC61508(JIS C0508)及びIEC61511による。
  この決定は、最終ユーザ(プラントメーカから見て顧客)やライセンサーにおいて、主としてプロセス設計者を中心にいくつかの手法によるもので、決定の後に計装エンジニアのところに来ることとなり、PFD計算によりSILを満足するかどうかを検証確認することとなる。(表1.参照)

図1:SIS設計
図1:SIS設計
安全水準
低頻度作動要求モード
低頻度作動要求
または連続モード
 
PFD作動要求当たり
機能失敗平均確率
単位時間当たりの
危険側故障率(1/時間)
危険側故障の頻度
( X年に1回)
SIL-1
10-2〜10-1
10-6〜10-5
10年
SIL-2
10-3〜10-2
10-7〜10-6
100年
SIL-3
10-4〜10-3
10-8〜10-7
1000年
SIL-4
10-5〜10-4
10-9〜10-8
10000年

(2) SISとBPCS(DCS)の区分

IEC61511-1では、11.2章でBPCSはSISの機能を損なわないように区分(Separate)することが定められている。SISとBPCS間のデータ変換は決められており、またSISとBPCSの間の入出力も認められている。

(3) ロジックソルバ(安全PLC)の選択

まずTVなどで認証されている安全PLCを選択する。大きく分けて3重化(CPU)PLC(TMR)や自己診断付2重化(CPU)PLCがあり、まずハードウェア(CPU,I/O)の認証とさらにソフトウェアの認証のあるものを用いなければならない。
  SIL2またはSIL3の安全PLCを用いることとなるが、認証済みのものは認定のCPU,I/Oの故障率データが伴っており、これを安全計装ループでのPFD計算に用いる。

(4) 機器と操作端の選択

現在、世界の計器ベンダーにより、SIL認証を受けた製品が発表されている。
exida社のSafety Automation Equipment List*)にて、これらの計器一覧を参照することが出来、随時更新されている(www.exida.com)。
安全PLCと同様に、SIL認証の機器には故障率の認定されたデータが付いてくるので、ループのPFD計算に用いる。
SIL認証のない機器を用いることは出来るが、故障率データを探さなければならず、使用条件により故障率が異なることから、計装メーカからのデータ提出はまずない。そのため後述の7.信頼性データを利用することになる。

(5) 安全計装ループの計算

機器や安全PLCをSIL認定品にて選定後、必ずループ毎にPFD計算を行い、ループとしてSILを満足するPFD範囲に入っているかを確認する。(図2)

参考

Safety Automation Equipment List -exida社
−伝送器:圧力,温度,レベル,流量,ポジション/検出器:ガス,炎,熱,煙
−BMS:炎スキャナ−,遮断弁(BMS バーナー管理システム)
−入出力インターフェースモジュール/安全PLC
−防消火コントローラ/フェールセーフ回路/電磁弁
−弁ポジショナー/ESD 部分ストローク弁モニタ
−アクチュエータ・空気式/油圧式/電動式
−弁:ボール,バタフライ,グローブ,ゲート,特殊
−モータ スタータ/コントローラ/その他の操作端

1oo1(1-out of-1システム)

センサーB PFD-
6.09×10-4
(SIL3)
コントローラ(PLC) PFD
1.3×10-4
(SIL3)
アクチュエータ PFD
5.0×10-4
(SIL3)

PFDSYS

=PFDS+PFDL+PFDA
=6.09×10-4+1.3×10-4+5.0×10-4
=1.24×10-3 (SIL2)
(SIL3のコンポーネントを用いても、ループとしてSIL3となるとは限らないことを示す。)
図2:安全計装ループの計算


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